沖縄でドローンを飛ばすのにどんな許可が必要?
- コラム

1. ドローン活用の広がりと沖縄でのニーズ

ドローンは近年、映像制作や観光PRだけでなく、建設現場の測量、農業、災害時の情報収集など幅広い分野で活用されています。特に沖縄は、日本屈指の観光地であり、美しい海や自然、離島特有の景観を持つことから「ドローンでしか表現できない景色」が数多く存在します。リゾートホテルや旅行会社が宣伝用の映像を制作したり、自治体が観光PRに活用したりする例も増えており、ドローンは今や観光業の重要なツールとなっています。
さらに、沖縄の建設業では、建物やインフラの点検作業にドローンを導入することで効率化が進んでいます。農業分野では、害虫防除や作物の育成状況確認のためにドローンを活用する動きも見られ、離島では物資輸送への活用も期待されています。
ただし、沖縄は「観光客が集中するエリア」「米軍や自衛隊の防衛施設」「国立公園」などが多く、他県と比べて規制が複雑です。無許可で飛行すれば、安全面のリスクだけでなく、法的な罰則や地域とのトラブルにもつながりかねません。したがって、沖縄でドローンを活用するためには「どの場所でどんな許可が必要か」を正確に把握しておくことが不可欠です。
2. ドローン飛行に許可が必要な場合と不要な場合

【許可が不要なケース】
- 人口が少ない場所で、日中に目視範囲内で飛行する場合
- 人や建物から30m以上離れて飛行する場合
- 高度150m以下で、空港周辺などの特定空域に該当しない場合
【許可が必要なケース】
- 人口集中地区(DID)での飛行
- 空港周辺での飛行
- 高度150m以上での飛行
- 夜間飛行や目視外飛行
- 人や建物に30m未満で接近する飛行
- イベント会場上空での飛行
- 物の投下や危険物の輸送
これらの場合は、国土交通省の「飛行許可・承認申請(DIPS2.0)」を行う必要があります。航空法の基本ルールを誤解すると、思わぬ違反につながるため注意が必要です。
※ドローンの飛行には、風速5m/s以上では国土交通省が定める「標準マニュアル」に従い飛行できないという条件があります。風速が5m/s以上でも飛行が必要な場合には、使用機体の最大耐風性能を踏まえた「独自マニュアル」を作成し、飛行許可申請時に国土交通省へ添付する必要があります。また、許可が不要な場所であっても、航空法や地方条例に基づく飛行制限区域や、土地・施設の所有者・管理者の承認が必要となる場合があります。事前に必ず確認を行うことが安全運用の基本です。
3. 沖縄県と他都道府県との違い

沖縄は全国共通の航空法ルールに加え、地域特有の規制が存在します。
- 防衛関連施設の多さ:米軍基地や自衛隊施設が多く、小型無人機等飛行禁止法により周囲約300mでの飛行は禁止されています。
- 国立公園の存在:慶良間諸島、やんばる、西表島などは国立公園や世界自然遺産に指定されており、環境省の承認が必要です。
- 都市公園の制限:首里城公園や奥武山公園など県営都市公園ではドローンの飛行は禁止されています。
- 港湾・漁港の規制:港則法や漁協のルールにより、漁港や航路周辺で飛行する場合は海上保安庁や漁協の承認が必要です。
沖縄は自然と軍事施設、観光資源が入り組んでいるため、事前調整が不可欠です。
4. 許可がないと飛ばせない場所とそのリスク

沖縄で無許可飛行をした場合のリスクは以下のとおりです。
- 防衛関連施設周辺 → 違反すると「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」
- 都市公園やダム敷地 → 管理者に無断で飛行した場合、利用停止や損害賠償の可能性
- 航空法違反 → 行政処分や飛行禁止措置が科されるほか、社会的信用を失う恐れ
沖縄は観光客が多く集まるため、ドローンの落下事故や無断撮影が大きな問題となるリスクがあります。
5. 自衛隊・米軍施設近辺での飛行と必要な許可

沖縄本島や離島には数多くの米軍基地・自衛隊施設があります。これらは「小型無人機等飛行禁止法」に基づき、施設とその周囲約300mは飛行禁止空域となっています。
例外的に飛行が必要な場合は、施設管理者の同意を得た上で沖縄防衛局へ「運用同意申請」や「通報書」を提出しなければなりません。申請は30日前までが望ましく、調整には時間がかかる場合もあります。
6. 海上・港湾での飛行と海上保安庁への申請(基本ルール)

沖縄は海に囲まれ、ドローン空撮の多くは海上で行われます。しかし「海の上だから自由に飛ばせる」と考えるのは誤りです。
《基本的なルール》
- 海は航空法上の自由空域ですが、離発着場所の安全が必須
- 人が泳いでいるエリアや航路付近での飛行は原則禁止
《海上保安庁への申請が必要なケース》
- 航路や港湾区域での飛行
- 作業船や漁船が航行している場所
- 那覇港、宮古港、石垣港など主要港湾周辺
この場合は、管轄する海上保安部へ「小型無人機飛行に関する申請書」を提出し、安全確認を受ける必要があります。
※海上は一見自由度が高いように見えますが、気象条件によって飛行可否が左右されやすい環境です。特に沖縄は突風や海風が強く、風速5m/sを超える状況が頻繁に発生します。飛行前には必ず気象情報を確認し、標準マニュアルまたは独自マニュアルに基づく運用を徹底してください。
7. ビーチ(海水浴場)でドローンを飛ばす際の許可
沖縄のビーチは「市町村管理」と「ホテル・民間管理」に分かれており、いずれも無断飛行は禁止です。必ず管理者に申請しましょう。

以下に、沖縄本島・離島を含む主要ビーチと管理者・連絡先をまとめます。

※ビーチは観光客が集中する場所であるため、管理者の許可に加えて、風速や天候の状況による安全確認が不可欠です。風速5m/s以上の場合は標準マニュアル上飛行が制限されるため、万が一の事故防止のためにも、利用者や観光客が多い時間帯を避け、十分なリスク管理を行いましょう。
8. 沖縄で具体的に必要な許可一覧(まとめ)

9. 沖縄に拠点を置く行政書士事務所としての強み

沖縄は全国の中でも特に規制が複雑な地域です。観光地や防衛関連施設が多く、県外の事業者が独自に許可取得を行うのは困難なケースも少なくありません。
弊所は沖縄に拠点を置く行政書士事務所として、最新の運用ルールに精通し、地元の事情を踏まえたアドバイスと迅速な申請代行を提供しています。観光業、建設業、イベント業界など沖縄特有の利用ニーズに応じて、必要な許可の洗い出しから申請書作成、関係機関への提出までを一貫してサポートします。
10. まとめ

沖縄は日本屈指のドローンロケーションであり、適切に許可を得ることで観光、ビジネス、研究など幅広い活用が可能です。一方で、防衛関連施設や国立公園、観光地が多いため、規制が複雑で誤解やトラブルにつながりやすいのも事実です。
安心してドローンを活用するためには、「どのルールに従い、誰の許可を得るのか」を正しく把握することが大切です。行政書士事務所として、沖縄でのドローン活用をトータルにサポートし、事業の発展と安全な空撮の実現をお手伝いします。