小規模事業者持続化補助金第20回|第19回との変更点・広告費30万円上限と賃上げ要件
- コラム
小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉第20回では、広報費の上限、ネット広告の経費区分、ウェブサイト関連費、賃上げの判定基準などが変わりました。第19回の申請書や経費計画を、そのまま使うことは避けましょう。
この記事は、2026年9月12日時点の第19回公募要領・第6版と、第20回公募要領・第8版を比較したものです。創業型は別枠です。申請への影響が大きい変更を中心に、沖縄の事業者の方向けに整理します。
第19回から第20回への主な変更点一覧
| 項目 | 第19回 | 第20回 |
|---|---|---|
| 広報費の上限 | 区分独自の上限なし(補助金全体の上限内) | 広報費の補助金交付申請額30万円まで |
| 広報費だけの申請 | 単独申請の禁止なし | 単独申請は不可 |
| ネット・SNS広告等 | ウェブサイト関連費 | 広報費に変更 |
| ウェブサイト関連費 | 補助金交付申請額の1/4以内、最大50万円 | 当該区分の補助金交付申請額30万円まで |
| 相見積もり | 発注総額1件あたり税込100万円超が原則の基準 | 税込50万円超に引下げ |
| 賃金引上げ特例 | 事業場内最低賃金を申請時より50円以上引上げ | 1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加 |
| 賃金引上げ加点 | 事業場内最低賃金を申請時より30円以上引上げ | 1人あたり給与支給総額を年平均2.0%以上増加 |
| 事業計画・審査 | 販路開拓の有効性等を審査 | 売上高・売上総利益の増加見込みと客観的な根拠を明確化 |
| 新商品開発費 | 今回追加された調査等の条件は明記なし | 市場調査・テストマーケティング等の結果に基づく開発、又はこれらを伴う開発が条件 |
| 健康経営優良法人加点 | なし | 重点政策加点として新設 |
※上限や要件は各区分の取扱いです。経費を記載すれば必ず補助されるわけではなく、対象経費の条件と審査があります。
1.広告費は「広報費の補助金額30万円まで」に
第20回では、広報費として申請できる補助金額に30万円の上限が設けられました。ここでいう30万円は、広告会社へ支払う金額そのものではありません。
例えば、補助率2/3で補助対象となる広報費45万円を計上する場合、対応する補助金額は30万円です。ただし、広報費だけの申請はできないため、実際の販路開拓計画に必要な他の経費区分も含め、補助金全体の上限内で計画する必要があります。採択後に減額される場合もあります。
第19回の広報費に区分独自の上限がなかったことは、無制限に補助されたという意味ではありません。第19回も通常上限50万円など、補助金全体の上限が適用されていました。
2.SNS広告・ネット広告などは広報費へ移動
インターネット広告、SNS広告、商品・サービスをPRする画像や動画の制作、SNS運用代行などは、第20回では広報費の対象例に整理されています。従来のウェブサイト関連費として計算していた経費を、そのまま転記しないようにしましょう。
チラシとSNS広告を併用する場合、いずれも広報費に該当すれば、その区分で合算して30万円の補助金額上限を確認します。一方、自社ホームページやECサイトに掲載する写真・動画はウェブサイト関連費の対象例にもあります。制作物の用途や発注内容に応じた区分確認が必要です。
3.ウェブサイト関連費は1/4制限から30万円上限へ
第19回では、ウェブサイト関連費の補助金額は申請する補助金総額の1/4以内、かつ最大50万円でした。第20回では、この割合による制限から、当該区分の補助金額30万円までという扱いに変わりました。ウェブサイト関連費だけの申請ができない点は継続です。
例えば補助金申請総額50万円の場合、従来の1/4は12万5,000円です。第20回では、他の経費との組合せ等を満たす計画であれば、ウェブサイト関連費に対応する補助金額を30万円まで計上できる余地があります。一方、特例を使う大きな申請では上限が下がることもあり、一律に有利・不利とはいえません。
4.相見積もりは税込50万円超から必要に
発注総額1件あたりの基準が、税込100万円超から税込50万円超へ下がりました。第20回では、この基準に該当する場合、原則として2社以上の見積もりを取得し、安価な業者を選びます。「50万円以上」ではなく「50万円を超える場合」です。
中古品は金額にかかわらず相見積もりが必要となるなど、別の条件もあります。相見積もりが難しい場合の理由書等の取扱いも、公募要領で確認してください。
5.賃上げ特例と加点は「1人あたり給与支給総額」で判定
第19回の事業場内最低賃金の引上げ幅に代わり、第20回は1人あたり給与支給総額の伸び率を用います。賃金引上げ特例は年平均3.0%以上、賃金引上げ加点は年平均2.0%以上です。
比較するのは、2027年4月1日から2028年3月31日までの12か月と、その前年同月の12か月です。これらを利用する場合、補助事業終了予定日を2028年3月31日に設定します。目標値を設定し、交付申請時までに従業員等へ表明する手続きも必要です。
給与支給総額には給料・賃金・残業代・賞与等を含み、福利厚生費・法定福利費・退職金等は除きます。代表者・役員・専従者の除外、各比較期間の全月分の給与等を受けた従業員の取扱い、パートタイム従業員の人数換算など、計算にも条件があります。
希望した賃上げ要件を満たせない場合は、交付決定後でも補助金が交付されません。時給だけを引き上げれば足りると考えず、雇用計画や賞与、残業の変動も含めて実現可能性を確認しましょう。採択後から交付決定までに必要な賃金台帳等の提出内容も変わっています。
6.売上高と売上総利益の増加を、根拠とともに示す
第20回では、事業効果報告時点の売上高と売上総利益が、補助事業終了時点と比べて増える見込みのある計画であることが求められています。売上総利益は、売上高から売上原価を引いた、いわゆる粗利益です。
「広告を出せば集客できる」という説明だけでなく、対象顧客、商圏、問い合わせ数、購入率、客単価、原価などのデータを使い、どのように売上と粗利益を伸ばすかを示しましょう。取得した設備等を補助事業終了後も継続して使う計画も、審査の観点に明記されました。
7.新商品開発費には市場調査等の条件が追加
市場調査・テストマーケティング等の結果を踏まえた開発、又はこれらを伴う開発であることが必要になりました。調査等の内容と結果は事業計画に記載し、申請時点で未実施の場合は実績報告で示す必要があります。事業計画にも実績報告にも記載がなければ、当該経費は補助対象外となります。
8.健康経営優良法人加点が新設
健康経営優良法人の認定を受けている事業者向けの加点が、重点政策加点に加わりました。希望する加点を選択する手続きが必要で、GビズIDの登録情報と認定情報に基づいて自動判定されます。登録の不備や未連携がある場合は個別対応がないため、申請前に情報を確認しておきましょう。
第20回の申請日程と、変わっていない基本事項
- 申請受付開始:2026年11月5日
- 申請受付締切:2026年12月15日17時
- 事業支援計画書(様式4)の発行受付締切:2026年12月4日
- 採択発表:2027年3月頃の予定
- 補助事業実施期限:2028年3月31日
いずれも確認日時点の予定です。様式4は申請締切より早いため、地域の商工会・商工会議所への相談を前倒ししてください。
通常の補助上限50万円、原則の補助率2/3、要件を満たす場合のインボイス特例・賃金引上げ特例による上乗せは継続しています。審査があり、原則として交付決定後に発注・契約し、補助金は事業実施・支払い・報告後の精算となる点にも注意が必要です。
沖縄で持続化補助金の申請を検討している方へ
かりゆし法務事務所では、事業者ご本人が考える販路開拓計画をもとに、制度の確認や申請準備をサポートします。広告・ホームページ・設備などの見積もりを取る前に、経費区分、補助金額、自己負担と資金繰りを整理しましょう。
確認に使用した公式資料
- 第20回公募要領・第8版(対象事業、賃上げ、経費、審査等)
- 第19回公募要領・第6版などの旧版一覧
- 補助金事務局・申請案内と公式新旧対照表
本記事は主な変更点の整理であり、全ての変更や個別要件を網羅するものではありません。公式新旧対照表には第20回の旧版(第7版)との比較も一部含まれるため、本記事は第19回との比較を中心にしています。公募要領が改定される場合があるため、申請時は最新資料をご確認ください。