口約束で仕事を受けていませんか? 始める前に決めたい5つのこと
- コラム
「その作業も、料金に入っていると思っていました」
「支払いは、もう少し待ってください」
仕事をしていて、こんな言葉に困ったことはありませんか?
知り合いからの紹介。昔からのお客様。初めての大きな仕事。
「細かいことを聞くと、嫌がられるかな」と、条件を決めないまま始めてしまうこともあると思います。
でも、後からお金や作業の話をするのは、もっと大変です。
仕事を始める前に、「何を・いくらで・いつまでに」を文字に残す。
まずは、ここから始めてみましょう。
契約は、原則として口約束でも成立します。ただ、記録がないと、後から約束の内容を確かめにくくなります。契約書は、お互いの認識をそろえるためにも役立ちます。[参考:法務省]

① 何をする? ― 作業の範囲を決める
「ホームページ制作一式」だけでは、写真撮影や文章作成まで含まれるのか分かりません。
例えば、「5ページ分を制作。写真と文章はお客様が用意」と具体的にします。料金に含む作業と、含まない作業を分け、納品するもの・納期・確認方法も決めておきましょう。
② いくら? ― 追加の仕事は、始める前に相談する
「5万円」と伝えるだけでなく、税込か税別か、材料費や交通費を含むかも確認します。
「ついでに、これも」と言われたら、その場で引き受ける前にひと言。
追加する内容・料金・納期を伝え、相手の了承を確認してから作業に入りましょう。
③ いつ払う? ― 「後で」ではなく日付を決める
「完成したら支払う」だけでは、具体的な支払日が分かりません。
支払日は年月日で決め、振込先や振込手数料の負担も確認します。材料の購入などで先にお金が必要なら、着手金を受け取るかも話し合いましょう。
※取引によっては法律上の支払期限があります。自由に長い期限を設定できるとは限りません。
④ どこまで直す? ― 修正の範囲を決める
「納得するまで直します」と約束すると、終わりが見えなくなることがあります。
例えば、「お客様の希望による修正は2回まで。最初の依頼から大きく変わる場合は、別途見積もり」と決めます。
ただし、こちらのミスや、約束した内容を満たしていない部分の修正は別に考えます。「2回を超えたら、どんな修正でも有料」という決め方は避けましょう。
⑤ 中止したら? ― 途中までの仕事と費用を確認する
作業を始めた後にキャンセルされると、使った時間や材料費が負担になります。
中止の連絡方法、作業済みの分の料金、購入済みの材料費、受け取った着手金の精算方法を決めておきましょう。
キャンセル料は、金額を書けば必ず請求できるわけではありません。仕事の内容や相手に応じた、無理のない条件にすることが大切です。
「契約書をお願いします」が言いにくいときは
こんな伝え方なら、切り出しやすくなります。
口頭で話した内容は、見積書やメールなどにも残し、相手に確認してもらいましょう。送っただけで安心せず、返信や合意の記録も保存します。
ただし、メールを1通送れば、どの仕事でも十分というわけではありません。フリーランス法の対象となる取引では、発注する側に取引条件の明示義務があり、所定の項目を伝える必要があります。建設工事なども、取引に応じた書面のルールを確認しましょう。[参考:公正取引委員会]
今回の5項目に加え、相手の正式な名前、発注日、納期、成果物の権利、秘密情報の扱いなどが必要になる場合もあります。
今使っている見積書から、ご相談いただけます
「契約書は使っていない」「ネットのひな形を、そのまま使っている」「追加料金の決め方に困っている」
そんなときは、今使っている書類や、普段の仕事の進め方をお聞かせください。かりゆし法務事務所では、お仕事の内容に合わせた契約書の作成・整備をサポートしています。
難しい言葉で説明する必要はありません。「いつも、ここで困る」からご相談ください。
かりゆし法務事務所へ相談する →本記事は、主に事業者同士の仕事の受発注を想定した入門案内です。個別の契約書のひな形ではありません。
参考:法務省「契約について」/公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」