法務局の遺言書の証明書、どちらを取る?「保管の有無」と「内容」の違い
- コラム

家族が亡くなり、「遺言書を法務局に預けたと聞いたけれど、何を請求すればよいのだろう」と迷うことがあります。自筆証書遺言書保管制度には、名前がよく似た2種類の証明書があります。
今回は、遺言者が亡くなった後に利用する「遺言書保管事実証明書」と「遺言書情報証明書」を比べ、目的に合う手続を選ぶためのポイントを整理します。公証役場で作成する公正証書遺言の検索や謄本交付とは別の制度です。
1.まずは、何を確認したいかを分けましょう
遺言書保管事実証明書は、特定の遺言者について、請求者に関係する遺言書が法務局の遺言書保管所に保管されているかを確認するものです。遺言の本文を読むための証明書ではありません。
一方、遺言書情報証明書には、財産目録を含む遺言書の画像情報などが表示され、内容を確認できます。「預けてあるか分からない」のか、「預けてある遺言の内容を知りたい」のかを整理すると、請求する書類を選びやすくなります。
目的で選ぶ、2種類の証明書
| 証明書 | 確認できること・使い方 |
|---|---|
| 遺言書保管事実証明書 | 請求者の資格に応じた、法務局での保管の有無。遺言本文の確認用ではありません。 |
| 遺言書情報証明書 | 目録を含む遺言書の画像情報など。内容の確認や、原本に代わる各種手続に。 |
2.「保管されていない」の意味は、請求者の資格で違います
相続人として請求した保管事実証明書に「保管されていない」と示された場合は、その遺言者の遺言書が遺言書保管所に預けられていないという意味になります。受遺者とは遺言で財産を受け取る人、遺言執行者とは遺言の内容を実現するための手続を担う人です。
一方、相続人以外の立場で請求する場合、確認されるのは請求者を受遺者等や遺言執行者等とする遺言書です。そのような遺言書がないという結果でも、別の人を受遺者等とする遺言書が保管されている可能性があります。
また、どちらの場合も、自宅などにある遺言書や公正証書遺言まで含めて「遺言は一切ない」と証明するものではありません。結果の一部分だけを見ず、請求者の資格と証明されている範囲を確認しましょう。
3.相続手続に使うのは、遺言書情報証明書
法務局に保管された遺言書は、遺言者が亡くなった後、相続人であっても原本を返してもらうことはできません。原本の代わりとして各種手続に使うのが、遺言書情報証明書です。
この制度で保管された遺言書は家庭裁判所の検認が不要ですが、それだけで個々の相続手続がすべて完了するわけではありません。提出先の金融機関などに、必要な証明書と併せて揃える書類を確認しておくと、準備を進めやすくなります。
4.請求先と必要書類を確認してから準備を
2種類の証明書は、全国どこの遺言書保管所でも交付を請求でき、郵送または来庁の方法があります。来庁する場合は予約が必要です。
請求者の立場や受け取った通知の種類などによって添付書類が異なり、省略できる場合もあります。他の手続で集めた書類で足りるとは限らないため、最新の案内を確認しましょう。
「誰の遺言か」「自分は相続人なのか、遺言で財産を受け取る人などなのか」「保管の有無と内容のどちらを知りたいか」をメモしてから、遺言書保管所で手続の案内を確認するのがおすすめです。
準備の順番を、ひと目で
- 1目的を決める保管の有無を調べたいのか、内容を確認したいのかを整理。
- 2自分の立場を確認相続人・受遺者・遺言執行者など、請求する資格を確認。
- 3方法と書類を確認遺言書保管所で手続の案内を確認。郵送か来庁かを選び、必要書類を準備。
相談前に、計画を一緒に整理しましょう
相続の準備で書類が増えてきたら、まずは手元にある保管証や通知、遺言者との関係、知りたいことを整理しましょう。行政書士かりゆし法務事務所では、相続に関する資料の整理や、どの窓口・専門家に確認するかの整理をご相談いただけます。
証明書の交付請求については遺言書保管所の案内を確認し、登記申請や相続人間の紛争などは、内容に応じて司法書士・弁護士等への相談を切り分けてご案内します。
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