小規模事業者持続化補助金で何ができる?8つの活用事例と補助額・自己負担の目安
- コラム
小規模事業者持続化補助金は、こうした販路開拓の計画に活用を検討できる制度です。ドローン、シャンプー、焼肉店、エステ、キッチンカーなど、8つの具体例から考えてみましょう。
以下はすべて、制度の活用方法を説明するための架空のモデル事例です。当事務所の支援実績や、採択・交付された実例ではありません。金額も仮定であり、市場価格や見積額を示すものではありません。各経費が審査・確認で補助対象と認められ、計画どおり実施・支払い・報告できた場合を試算しています。

まず確認|補助率2/3でも、自己負担が必ず1/3になるわけではありません
本記事は一般型・通常枠の第20回公募要領(第7版)を前提にしています。基本は補助率2/3・上限50万円。賃金引上げ特例を満たす場合は上限200万円になります。本記事の比較では、いずれも補助率2/3とし、インボイス特例や赤字事業者の補助率特例は使いません。
賃金引上げ特例には、所定の比較期間における従業員1人当たり給与支給総額を3.0%以上増加させることなどの条件があります。希望するだけで上限200万円になるものではなく、要件未達の場合は補助金全体が交付されないことがあります。人件費の増加まで踏まえた判断が必要です。
以下はすべて万円単位・税抜きです。
補助額=「対象経費×2/3」と「適用上限」の小さい方。
自己負担=表の対象経費-補助額。
消費税、対象外経費、賃上げによる人件費増、申請支援料などは含みません。開店・事業全体の最終負担とは異なります。
8つのモデル事例|事業費・補助額・自己負担を比較
各事例の「事業費」は、対象経費として計上する部分の合計です。設備だけでなく、工事・試作開発・販促を含む例もあります。スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧ください。
| モデル事例 | 事業費 | 通常:補助額 | 通常:自己負担 | 賃上げ特例:補助額 | 賃上げ特例:自己負担 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設会社・赤外線ドローン | 150万円 | 50万円 | 100万円 | 100万円 | 50万円 |
| シャンプー試作開発・販促 | 120万円 | 50万円 | 70万円 | 80万円 | 40万円 |
| 居酒屋から焼肉店へ展開 | 300万円 | 50万円 | 250万円 | 200万円 | 100万円 |
| エステの新サービス機器 | 180万円 | 50万円 | 130万円 | 120万円 | 60万円 |
| キッチンカーの改造 | 150万円 | 50万円 | 100万円 | 100万円 | 50万円 |
| 菓子店のギフト販売 | 90万円 | 50万円 | 40万円 | 60万円 | 30万円 |
| 工芸品店の体験サービス | 60万円 | 40万円 | 20万円 | 40万円 | 20万円 |
| クリーニング店の靴洗浄 | 75万円 | 50万円 | 25万円 | 50万円 | 25万円 |
※特例欄は各事業者が従業員・賃上げ等の適用条件を満たす場合の比較です。従業員のいない事業者などが当然に利用できるものではありません。広報費は各例とも15〜30万円の経費として設定し、第20回の「広報費に係る補助金交付申請額30万円上限」の範囲内で試算しています。
1.建設会社|赤外線ドローンで外壁調査サービスを始める

住宅の改修工事を中心に行ってきた建設会社が、マンション管理会社や建物オーナー向けの外壁調査サービスを新設するモデルです。専門機材で調査画像を取得し、調査報告から必要な補修工事の提案につなげます。
- 赤外線カメラ付き業務用ドローン一式:150万円
対象経費合計:150万円/機械装置等費を想定
賃上げ特例の条件を満たす場合:補助100万円・自己負担50万円
税抜き・対象経費部分のみの仮定計算
販路開拓のポイント:狙う顧客を「管理会社・建物オーナー」と定め、調査メニュー、料金、営業先、受注までの流れを具体化します。ドローンを買うことに加え、調査サービスをどう販売するかが計画の中心です。
経費・実施上の確認点:赤外線カメラは温度差から外壁タイル等の浮きを調べる用途などに用います。建物の構造強度や耐震性能を直接測定できる機械ではありません。撮影条件・打診との併用等を確認し、飛行に必要な手続きも整えます。趣味用・汎用機器ではなく、補助事業専用の業務機材として対象性を個別確認します。[国土交通省:赤外線外壁調査ガイドライン]
2.美容関連事業者|オリジナルシャンプーの試作開発と販促

美容室や美容関連商品を扱う小規模事業者が、顧客アンケートをもとにオリジナルシャンプーを企画。外部メーカーへ処方設計や試作を依頼し、完成後の販売に向けて商品紹介のチラシ・パンフレットを作るモデルです。
- 外部メーカーへの処方設計・試作開発費:90万円
- 新商品のチラシ・パンフレット制作費:30万円
対象経費合計:120万円/試作開発部分は新商品開発費、チラシ等は広報費を想定
賃上げ特例の条件を満たす場合:補助80万円・自己負担40万円
税抜き・対象経費部分のみの仮定計算
販路開拓のポイント:「どんなお客様の、どの悩みに応える商品か」を整理し、試作品のモニター評価を商品設計と販売方法に反映します。販売予定価格、販売先、継続購入の仕組みも示します。
経費・実施上の確認点:外部へ委託しても、すべてが「委託・外注費」になるわけではありません。試作開発に該当する部分は新商品開発費として整理し、市場調査・テストマーケティングとその結果を記録します。販売用の初回ロットや量産・仕入費、試作品をそのまま販売する場合の開発費は試算に含めていません。製造販売の役割分担と必要な許可・表示も確認します。
3.居酒屋|新たな客層に向けて焼肉店を開店

居酒屋を営む事業者が、既存店では取り込めていなかった家族連れや週末の食事客を対象に、別の場所で焼肉店を開くモデルです。賃借する既存建物を改修し、提供する料理や利用シーンが伝わる看板を設置します。
- 既存建物内の厨房・排気・客席等の改修:270万円
- 焼肉メニューを訴求する看板の制作・設置:30万円
対象経費合計:300万円/改修工事は委託・外注費、広告看板は広報費を想定
賃上げ特例の条件を満たす場合:補助200万円・自己負担100万円
税抜き・対象経費部分のみの仮定計算
販路開拓のポイント:既存の居酒屋との客層・単価・利用目的の違いを説明します。立地の商圏、競合店、家族客を呼び込むメニューなどを検討し、2店舗分の人員と収支も計画に織り込みます。
経費・実施上の確認点:申請する同一事業者が運営する新店舗を想定しています。土地・建物の購入費や建物新築・増築に当たる費用、単なる移転・修繕の費用とは区別します。看板も社名だけでなく、対象サービスの販促につながる内容にします。敷金、通常の運転資金などを含む開店費用全額の試算ではありません。
4.エステサロン|機器導入で新しい美容サービスを展開

フェイシャル中心のサロンが、医行為に該当しない範囲の美容脱毛やセルフホワイトニングのメニューを加えるモデルです。新メニューをきっかけとした来店と、既存メニューとの組合せ利用を目指します。
- 業務用美容脱毛器:135万円
- 非医療のセルフホワイトニング用機器:45万円
対象経費合計:180万円/機械装置等費を想定(機種・提供方法の事前確認が必要)
賃上げ特例の条件を満たす場合:補助120万円・自己負担60万円
税抜き・対象経費部分のみの仮定計算
販路開拓のポイント:新規のお客様の獲得方法、予約枠、客単価、消耗品費、稼働率を整理します。既存機器の買替えだけで終わらず、サービスの違いと新たな売上の見込みを示します。
経費・実施上の確認点:医療脱毛や歯科医療行為をサロンで行えるという意味ではありません。機器・薬剤・施術内容について関係窓口に確認し、適法なサービスとして実施できることが前提です。特にセルフ利用型は、顧客への機器貸与に当たるとして対象外となる可能性もあるため、運営実態を示して事務局へ確認してください。本例の機器が補助対象と認められることを保証するものではありません。[厚生労働省:美容医療に関する案内]
5.飲食事業者|キッチンカーでイベント販売へ進出

店舗販売だけだった飲食事業者が、地域イベントや企業敷地での販売に進出するモデルです。別途調達した車両を、メニューと営業許可の条件に合わせて移動販売用に改造します。
- 調理・給排水設備等を組み込む内装改造工事:150万円
対象経費合計:150万円/委託・外注費を想定
賃上げ特例の条件を満たす場合:補助100万円・自己負担50万円
税抜き・対象経費部分のみの仮定計算
販路開拓のポイント:出店したいイベント、主催者との交渉状況、販売できる日数、1日当たりの販売数を具体化します。出店料、食材原価、人件費、雨天中止も考慮して採算を検討します。
経費・実施上の確認点:キッチンカーの車両購入費そのものは補助対象外です。本例は車両代を含まず、内装・改造工事150万円だけの試算です。「完成済みキッチンカーの購入一式」を名目上分けるだけでは足りず、工事内容と金額を確認できる見積書等が必要です。車両代や保険料、許可関係の費用などは別に準備します。
6.菓子店|贈答用の焼き菓子セットを新たに販売

店頭のばら売りが中心だった菓子店が、法人の手土産や季節の贈答向けに焼き菓子セットを開発するモデルです。試作した箱と商品構成で購入意向を確かめ、近隣企業に提案します。
- ギフト商品の生産に用いる専用オーブン等:60万円
- ギフト箱のデザイン・試作:15万円
- ギフト商品のパンフレット制作:15万円
対象経費合計:90万円/機械装置等費・新商品開発費・広報費を想定
賃上げ特例の条件を満たす場合:補助60万円・自己負担30万円
税抜き・対象経費部分のみの仮定計算
販路開拓のポイント:法人向けの最低注文数、納期、価格帯を決め、通常の店頭販売とは異なる販売ルートを作ります。設備の導入理由も、この新たな需要に対応するためのものとして説明します。
経費・実施上の確認点:販売商品の原材料費、販売用の箱や包装資材の量産費は別予算です。新商品開発費に計上する箱はデザイン・試作段階に限り、市場調査等の結果も残します。
7.工芸品店|旅行客向けの制作体験を始める

商品販売が中心の工芸品店が、スタッフの指導による短時間の制作体験を新設するモデルです。旅行客が持ち帰れる作品と体験を組み合わせ、近隣宿泊施設などに紹介します。
- 店内の体験スペース改装:45万円
- 体験メニューの多言語チラシ制作:15万円
対象経費合計:60万円/委託・外注費・広報費を想定
賃上げ特例の条件を満たす場合:補助40万円・自己負担20万円
税抜き・対象経費部分のみの仮定計算
販路開拓のポイント:参加人数、1回の所要時間、料金、予約方法、対応言語を決めます。観光客が立ち寄れる時間帯や、宿泊施設からの紹介の流れを検討します。
経費・実施上の確認点:有料体験で使う販売用材料・教材の制作費まで補助される前提にはしていません。改装箇所を図面で明らかにし、チラシは事業期間内に実際に配布します。
8.クリーニング店|靴・スニーカーの洗浄サービスを追加

衣類のクリーニングが中心の店舗が、靴やスニーカーを預かり、スタッフが専用機器で洗浄するサービスを始めるモデルです。通勤客や子育て世帯への新しい提案につなげます。
- 新サービス用の専用洗浄・乾燥機器:60万円
- 靴洗浄メニューのチラシ・店頭広告制作:15万円
対象経費合計:75万円/機械装置等費・広報費を想定
賃上げ特例の条件を満たす場合:補助50万円・自己負担25万円
税抜き・対象経費部分のみの仮定計算
販路開拓のポイント:素材別の受付条件、料金、仕上がり日数を決め、衣類と一緒に持ち込める便利さを打ち出します。機器導入後の月間受付数と利益の見込みを示します。
経費・実施上の確認点:既存機器の老朽更新や、顧客へ機械を貸すセルフ式コインランドリーの設備導入とは異なる想定です。サービスに必要な営業上の手続きも確認します。
「実質自己負担」と「先に用意するお金」は別です
補助金は原則後払いです。たとえばドローンの例では、税抜き150万円、消費税を仮に10%とすると、業者への支払いは165万円。賃上げ特例の条件を満たして補助金100万円が後から入る場合、入金後の差額は65万円です。通常上限で補助50万円なら、差額は115万円になります。
最初の支払い:165万円
後から受け取る補助金:100万円
入金後の現金支出差額:65万円
内訳:税抜きの自己負担50万円+消費税15万円
この65万円は消費税の申告精算前の現金差額であり、税務処理まで含めた最終負担を示すものではありません。課税方式等により取扱いは異なります。また、同じ「補助100万円」でも、キッチンカーのように車両代が別途必要な計画では、全体の負担は大きくなります。
仮にキッチンカーの車両代が別途税抜200万円なら、車両200万円+改造150万円=税抜350万円。改造部分への補助100万円を差し引いた税抜負担は250万円です。改造費だけの自己負担50万円でキッチンカー全体を導入できる、という意味ではありません。
申請前に押さえる4つのポイント
- 設備ではなく、売り先から計画する。誰に何を売り、なぜ売上につながるのかを整理します。単なる買替えや通常経費の穴埋めとは区別します。
- 契約・発注を急がない。本記事の購入・工事等は交付決定後の発注が前提です。採択発表だけでは着手できません。期間内に納品・支払い・実際の取組まで終える必要があります。
- 見積書を経費ごとに分ける。設備、改修、看板、試作、販売用在庫を区別します。外部に頼む費用でも、実態に合う経費区分に整理します。広報費だけの申請はできません。
- 実施・報告と資金繰りまで考える。先払い資金、成果物・写真・配布実績の保存、設備の処分制限などを確認します。補助額だけでなく、導入後の維持費と返済額も比べましょう。
従業員数などの申請資格は、店舗ごとではなく申請する事業者単位で確認します。新店舗を開く場合も、既存事業を含む条件確認が必要です。[対象者・対象経費・実施手続き:第20回公募要領]
第20回の申請を検討している方へ
公表されている予定では、申請受付は2026年11月5日〜12月15日17時、商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は12月4日です。スケジュールや資料は更新される場合があります。[公式募集案内]
やりたい事業を、補助金の申請に向けた具体的な計画へ
当事務所は全国対応です。沖縄県内はもちろん、全国の事業者様からのご相談を承ります。
行政書士かりゆし法務事務所では、取組内容の整理、対象経費の確認、申請書類の作成支援など、ご依頼内容と公募要領に沿ってサポートします。「この設備は使えるか」「新店舗のどの工事を計上できるか」といった段階からご相談ください。
事業計画は申請者ご自身が検討・策定する必要があります。支援内容・費用を確認し、第三者支援の申告など制度のルールに沿って進めます。採択・交付を保証するものではありません。
持続化補助金の活用を相談する →関連記事:融資の自己資金はいくら必要?創業時と事業拡大時の違い
2026年9月15日確認。金額・事業内容はすべて説明用のモデルです。対象性は機材仕様、契約内容、事業計画、適用要件等により個別に判断されます。申請時は最新の公募要領・参考資料・FAQをご確認ください。